実家のマンションに引っ越した
1月に仕事を辞め、休養に専念することになった。
仕事というプレッシャーがない分、すぐによくなると思っていた。
それは間違いだった。
まず、旦那のお弁当が作れなくなった。
お弁当を作る。会社で食べるためのお弁当を。仕事をしている会社で食べるためのお弁当を。
仕事で。仕事で。仕事で。
怖くなった。
仕方ないので旦那に自分でお弁当を作ってもらった。
ずーっと家にいるのに申し訳なかった。
ずーっと家に?いや、1人で家にいるなんてできなかった。
平日は電車で数駅の実家に毎日通った。
朝、旦那を見送り、私も実家に向かう。
実家で朝の分の薬を飲み、副作用を避けるために眠る。
夕方になり、家に帰ってうさぎの世話をする。
……うさぎ?
そう。じつは2011年8月(つまり、実家時代から)うさぎを飼っていたのだ。
しかも2匹。仲良しの姉妹うさぎを。
このうさぎたちを、1匹1時間ずつ部屋の中で運動させる。
ちなみに、これをうさぎ飼いのなかでへやんぽ(部屋+散歩=部屋んぽ)と言う。
先に姉うさぎをへやんぽさせるのだが、顔を近づけて話したり、ゆっくり後を追ったり、タオルで闘牛ごっこしたりと、たくさん遊んであげていた。
しかし、妹うさぎの番になるともうヘトヘトで、ずっと横になっていた。
姉うさぎばかりかまってもらって、妹うさぎは寂しくなかったのだろうか。
しかし、文句も言わずに1匹で遊んでくれていた。
そして、旦那が帰ってきたら夕飯作り。
しかしそのあと、ソワソワして落ち着かなくなるのだ。
ずっと旦那に抱きしめてもらい、泣きながらすごした。
ある日、旦那が帰ってくると「散歩にでも行かない?」と誘ってくれた。
もう夜なのに?と思いつつ、家にいても苦しいだけなので散歩に行ってみた。
隣町の本屋まで行き、真っ暗な世界で明るい店舗に安心した。
大好きなうさぎの本を買って、うつの体験記を立ち読みして、漫画の新刊を探して、帰った。
その日から夜の散歩は日課になった。
仕事を休んでから傷病手当金をもらって生活していたが、それでも実家に通う交通費は少し痛い。
そんなことを思っていたある日。
父日から、「実家のマンションに空きが出たぞ」との電話が来た。
2013年10月、実家と同じマンションに引っ越した。