人生最大のしあわせ。
▼手術前日
病院に着くまでは不安でお通夜状態。病院に着いて説明を受けているうちに、だんだん赤ちゃんに会うのが楽しみになってくる。
疲れているから眠れるだろうと、頓服は飲まずに就寝。ビックリするほど寝付けない。それは苦痛ではなかったので、一晩音楽を聞いてすごす。しかし、朝の4時頃に急に不安になってきた。眠れていない、そのせいでいつもより空腹の状態で明日の手術に挑めるのか?落ち着かない。落ち着かない。頓服飲むべきだろうか?手術前でなく、こんな時間に飲んでしまっていいのか。産後のために我慢したほうが良いのではないか。苦しい。苦しい。
▼手術当日
気がついたら1時間くらい眠っており、先生に起こされる。その後、助産師さんに座薬を2つ入れられる。
今日は一日絶飲食なのだが、何か飲みたくて仕方ない。しかし我慢するしかない。
手術時間になり、歩いて手術室へ。背中に痛み止めの麻酔をしてもらったのだが、あまりの痛みに叫んでしまった。正直、舐めていた。そのあと痛み止めの管を入れてもらったのだが、これが気持ち悪くて呻いてしまった。途中、痛みがあり麻酔を追加してもらった。その次に手術用の麻酔をしてもらったのだが、これも痛くて叫んでしまった。騒がしくて申し訳なかった。
手術が始まり、よくわからないうちに赤ちゃんが取り出された。そのときにお腹を強く押されたのだが、カエルの鳴き声のような呻き声をあげてしまった。赤ちゃんは少ししてから一言、「みゃあ」と産声をあげた。私の飲んでいる向精神薬の影響で「眠ったまま生まれてきて、産声をあげない可能性がある。」と言われていたのに、だ。新生児科の先生と助産師さんに診てもらい、無事なことがわかると会わせてもらえた。頭を撫でたり、握手したり。そうこうしてるうちにポロリと一粒涙が流れた。生まれてきてくれて、ありがとう。赤ちゃんは新生児室に向かい、私は傷口を縫われた。
赤ちゃんは呼吸が安定しておらず、なかなか面会できなかった。面会してみると、かわいさ愛おしさ100万点。こんな感情を抱く生き物がこの世にいることに驚いた。今日までの苦しみは決して無駄じゃなかった。生きていて良かった。
面会後、ジワジワと傷が痛み出した。何度も痛み止めをもらったが、それでも息をするだけで激痛が走るほどだった。そんな状態が2時間ほど続いた。落ち着いてからはお腹を触らなければ我慢できるところまで回復した。
昨日眠れなかったこともあり、眠剤を飲んでから寝たのだが、またしても寝付けず。悶々としていたら助産師さんがアロマオイルを用意してくれて、いつのまにか眠っていた。
▼術後1日目
朝一で体を起こして水分補給をした。これからは自由に水が飲めるそうだ。痛み止めの薬を飲み、少し時間が経ってから歩行訓練。案外スタスタと歩けたので、母子同室スタート。哺乳瓶でミルクを与え、オムツの交換をする。グズグズしていたので抱っこしながら眠りにつくまで歌を歌った。すごくしあわせだ。
夜間も自分で赤ちゃんをみることにした。私の赤ちゃんはあまり泣かない子で、ミルクやオムツ汚れでは泣かなかった。唯一、抱っこして欲しいときだけ泣いた。
▼術後4日目
流石に疲れが溜まってきたので、夜は睡眠薬を飲んで赤ちゃんを預かってもらうことにした。良い感じにうとうとしてきたところ、急に悲しくなって30分もしくしく泣いてしまった。もし今死んだら、赤ちゃんのお世話ができなくなる。そんなの嫌だ。ずっと一緒にいたい。死にたくない。寂しい。今夜は寝て体力回復させないといけないのに、赤ちゃんが側にいない、お世話できないのが悲しい。ずっと一緒にいたい。寝なきゃいけない。…そんな状態があまりにも苦しかったため、ワイパックスをもらって効くまで助産師さんに話を聞いてもらった。
あれだけ悲しかったのに、側に赤ちゃんを連れてきてもらった途端にっこりする私。大丈夫、私も赤ちゃんも生きてる。無理に寝なくたっていい。眠れるときに眠ればいいんだから。我慢せず、好きなだけ赤ちゃんといよう。そう思うことができた。
▼まとめ
妊娠中は「なぜ女ばかりが苦しまねばいけないのか?」と悶々としていたが、出産したことで「こんなに喜ばしい体験ができるなんて女は恵まれている」と考えが変わった。そのくらい、出産はすばらしいものだった。
これから育児が大変かもしれないが、頑張っていこうと思う。