気づいてしまった。
私は両親が好きだ。父親に認めてもらいたい。子育て失敗したとは言われたけど、謝ってもらったから、もう大丈夫。……そんなふうに思っていた。
全然そんなことありません。許せない。無理。いい加減にして。そう、再熱したのだ。
というのも、妊娠してから過保護・過干渉がより一層酷くなったのだ。
やれ部屋が寒いからエアコンの設定温度を上げろだの、明日は冷えるからももひきを履いて外出しろだの、雪が降ってきたから暖かく過ごせだの。
いちいちそんな内容のメールを送ってくるのだ。馬鹿じゃないのか?
一番腹が立ったのは、屋内工事があった日にいきなり訪問してきて何事か問うと「部屋の換気をしに来た」。部屋の換気もまともにできないと思われているようだ。
育児に関しても既に口うるさい。
「母乳をあげないとダメだ」「うさぎと一緒の部屋では喘息になる」「離乳食は手作りじゃないと」「0才から保育園に入れたら愛情が足りなくなる」
うるさい。うるさい。うるさい。
言っておくが、お前の孫であってもお前の子供じゃない。立場をわきまえろ。しゃしゃり出てくるな。
そのくせ、「子育てしたいって、何を手伝ってくれるの?」と聞いたときは「おむつ替えたい。ミルクのあげ方はわからないからできない」との返事。
……なにをしに家に来るんだ?泣いたらおむつを確認して、汚れてなかったら私にポイ、か?
さすが、母が病気になるまで育児に参加しなかった男である。
0才のうちに保育園に入れることは、旦那が提案してくれたことだ。
うちの父親が赤ちゃんを見ると言ってるとはいえ、同じ家の中で泣き声がしたら昼寝してても起こされてしまうだろう、と。それなら、保育園に預けてしっかり睡眠時間をとって欲しいと。
家にいる私が世話をしていれば済む話なのに、私の体調を優先してお金のかかる選択を提案してくれた旦那。とても嬉しかった。
それなのに、私の父は「愛情が与えられない」と言ってきた。睡眠不足が祟って病気が悪化し入院にでもなったら、そっちのほうが愛情不足になるのではないか。そもそも、保育園に預けて働くお母さんたちは子供に愛情がないとでも言いたいのか。そう言うと口ごもっていた。
どうしても保育園に預けてほしくないようで、「それならうちで預かる」とまで言ってきた。30年近く昔の知識で育児してほしくないこと、素人に任せたくないことを伝えると、今度は旦那に電話して私を説得してもらうだのとのたまった。
まるで、私ひとりがワガママを言っていて、旦那は自分の味方になってくれるとでも思っているようだ。
あのね、あなたに頼りたくないから保育園を提案してきたんですよ、うちの旦那は。
私が頼る気満々の頃から、旦那は2人で頑張りたいと言っていたんですよ。あなたに頼る気なんてみじんも持ち合わせていない男ですよ。わかっちゃいないね。
そもそも、自分の娘に対して「子育て失敗した」なんて発言をする人物に、進んで育児を頼みたいと思う人間がいると思っているのか。
私にはわかる。自分が育児放棄したせいで母を病気にしてしまった罪滅ぼしがしたいんだと。
私にはわかる。自分が失敗した子育てを、今度は孫を使って成功させたいんだと。
そんな人間に大事な子供を利用されたくない。
しかし、私は精神障害者だ。病気の症状緩和のために、多くの睡眠時間を必要とする。そうなると、どんなに嫌っている父親でも世話になるしかないのではないか。そのことで数日苦しんでいた。
ついに耐えきれなくなり、昨夜恩師にカウンセリングをお願いした。
長々と父親の愚痴を聞いてもらい示してもらった道は、『父親以外に頼れる人・サービスをみつけ、夫婦2人で頑張ること』だった。
本人が望んでいない限り、その人の考えを変えることはできない。なら、無理して父親に頼ろうとするのではなく、他の存在を頼ればいいじゃない、と。
私はどうあがいても父親に頼るしか道はないと思っていたので、この答えに心底驚いた。
旦那は私ひとりに育児を任せるつもりはなく、夜泣きの辛さなども分かち合いたいと言ってくれている。その気持ちをもっと信頼して、頼っていいのだと。
旦那は日中働いているのだから、細切れとはいえ眠れるだろう私が頑張らないといけないと思いこんでいた。そうじゃないんだ。もっと頼っていいんだ。第三者から言ってもらえたことで、私は安心した。
早期に保育園に入れることができたら、私は昼間寝て夜の育児は頑張る。でも、それまでは夫婦で交代しながら育児して、どうしても無理になったら頼る先を考える。一時保育を利用して、その日まるまる寝ちゃってもいいよね、なんて旦那を笑いあって。
あぁ、そうか。私には頼れる旦那がいる。なんでも話せる、頼りになる、一番大事な人が。なぜ経験したこともないのに、2人で育児できないと思っていたのだろう。私は精神障害者だから。健常者じゃないから。いやいや、そんなのやってみなきゃわからない。
私は挑戦することすら諦めていたのだ。
一度くらい挑戦しよう。ダメだったらそのときに考えよう。私には無理なんて諦めちゃダメだ。私にだってできるかもしれない。病状だってだいぶ良くなったんだから。もっと自信を持って。
やってみよう。ダメだったとしても誰も怒らないよ。大丈夫だよ。頑張ってみよう。